労災保険とは?
業務災害や通勤災害にあった労働者または遺族に給付する社会保険のことをいいます。
原則、1人以上の労働者を使用する全事業主に加入義務がある強制保険です。
加入義務は会社にあるため、従業員は入社後、自動的に加入しているという流れになります。
また、『労災保険』とよく言われますが、正式には、『労働者災害補償保険』といいます。
以下の内容は、すべて『労働者災害補償保険法』に定められています。

加入条件
従業員の加入条件は決まっています。
『1週間の労働時間が20時間以上&31日以上の雇用見込みがあること』が条件です。
しかしながら、一般的に見れば、上記の条件は十分に満たすことができるでしょう。

保険料
保険料は、『全従業員の前年度(1年間)の賃金総額×労災保険料率』で求められます。
労災保険料率は、業種により異なります。(危険な仕事の方ほど高く設定されています。)
なお、労災保険の保険料は、全額が事業主の負担です。
会社を立ち上げる方は、従業員の労災保険のことも考えないといけないということですね。
給付対象
■業務災害
出張中を含めた業務上のケガ、障害、病気、死亡が対象です。
■通勤災害
通勤途中でのケガ、障害、病気、死亡が対象です。
なお、通勤途中とは、日用品の購入、選挙権の行使、病院の診察、親族の介護を含みます。
給付申請
【STEP1】従業員が労働災害の発生を会社に提出する
【STEP2】会社は、労働基準監督署長に「労働者死傷病報告」を提出する
【STEP3】労働災害の請求書を労働基準監督署長に提出する
【STEP4】労働基準監督署長による事実調査が行われる
【STEP5】労災給付or不支給が決定する
給付の種類
給付の種類は、全部で7種類あります。
■休業補償給付
業務上の負傷が理由で、仕事を休んでしまい、給料が支払われなくなった者に支給されます。
通算3日の休業のあと、休業4日目から給料の60%分が支給されます。
■療養補償給付
業務上の負傷が理由で、労災指定病院で治療を受けた者に支給されます。
支給額は、労災指定病院で使った金額のうち、全額が支給されます。
■遺族補償年金
労働者が死亡した場合に、労働者の遺族に対して支給されます。
業務災害が理由であれば『遺族補償年金』、通勤災害であれば『遺族年金』と呼びます。
受給できる遺族は、下記の順位のなかで、最も順位が高い者にのみ支給されます。
①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹
■傷病補償年金
療養開始から1年6か月を経過して完治しない&障害程度が障害等級に該当する者に支給される。
業務災害が理由であれば『傷病補償年金』、通勤災害であれば『傷病年金』と呼びます。
■障害補償給付
業務上の負傷で身体に障害が残った者に支給されます。
障害等級に応じて、年金または一時金が支給されます。
■介護補償給付
一定の障害に該当し、介護を受けている場合に支給されます。
■葬祭料
遺族や友人など、労働者の葬祭を行う者に一定額が支給されます。
まとめ


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